「アンカリング効果」とは、最初に与えられた情報が、その後の情報に影響を与えて、
同じ情報でも受ける印象が大きく変わってしまう、という効果のことです。
我々人間は「合理的な動物」と呼ばれますが、だからといって人間の意思決定が、
常に合理的なものかと言われたら決してそうではありません。
時には非合理的な意思決定をしてしまうことだってあります。
人間は情報がそろっていないときは、特定の情報を基準として意思決定をする、
ということが分かっています。
アンカリング効果は、このような人間のこの行動特性を利用したものです。
大衆の意思に乗るような感じかニャ~?
そうかも知れないね、ではどういうことなのか考えてみましょう。
【アンカリング効果の語源】
アンカリング(Anchoring)効果の“Anchor”は、「錨」という意味です。
港に船をつなぎとめておくための道具、「錨」です。
Anchoringは、錨を下ろして船をつなぎとめておくことを言います。
つまり、アンカリング効果とは、最初に与えた情報により、相手をつなぎとめておく
(身動きを取れなくする)ことを指します。
【株式投資でのアンカリング効果】
次質問の答えを一緒に考えて見ましょう!
下記2つのうち、いずれかの株式を購入する権利があるとします。
さて、どちらをより購入したいかニャ?
A:過去12カ月間、株価が上昇し続けている株式
B:過去12カ月間、株価が下降し続けている株式
どうでしょう、おそらく多くの方がAの株式を選んだのではないでしょうか。
実は、これもアンカリング効果によるものなのです。
過去の株価が上がり続けていようが、上がったり下がったりを繰り返していようが、
これから先の株価が上がるか下がるかには、さほど関係ないかもしれません。
ずっと上がり続けているAがいきなり下がり始めるかもしれませんし、
今後しばらくは、Bの株価が上がり続けるかもしれません。
さらに言えば、今の株価は、AとB,ともに同じかもしれません。
過去の株価の変動は、今後の株価には何ら関係のない数字かもしれませんが、
我々は「今までずっと株価が上がり続けている」という情報(アンカー)により、
「その後の株価も上がるのではないか」という印象を抱いてしまいがち、ということです。
【日常生活でのアンカリング効果】
マーケティングや営業、株式と、ビジネスの世界でのアンカリング効果の活用例をお話ししましたが、
実はこのアンカリング効果、日常生活でも活用することができます。
例えばあなたは今、重要な約束に1時間ほど遅刻してしまいそうな
状況に置かれているとします。
当然、約束の時間に遅れてしまう、ということは、相手に事前に伝えておくべきですが、
ここで正直に「1時間ほど遅れてしまいます」と伝えるのではなく、一工夫入れてしまいましょう。
遅れてしまう時間を、少し長めに設定して、「1時間半ほど遅れてしまいそうです」と
伝えてみましょう。
実際にあなたが遅れたのが1時間だったとして、あなたが到着したときの
相手の感情を考えてみましょう。
前者、正直に「1時間」と伝えた場合はどうでしょうか。
怒り出すかどうかは別として、相手が抱く感情は「1時間も遅れて来て……」という
感情飲みになるでしょう。
遅れてごめんなさいしかないニャ~
一方で後者、少々長めに「1時間半」と伝えた場合はどうでしょうか。
きっと「遅れてはきたけど、事前に伝えてくれたのよりは早く着いている。
必死に急いできたんだろう」と、若干の好印象すら持つ可能性があります。
相手の感じ方が全然違うニャ
これも立派なアンカリング効果なのです。
事前に伝えた情報がアンカーとなって、実際に遅れた時間を認識するので、
若干好印象すら抱いてしまうということです。
【まとめ】
アンカリング効果は、「リテラシーの高い人には通用しない」ということもなく、
人間には遍く影響を与えうるものですから、「見せる順番」を意識して、
最大限目的達成できるよう、うまく活用されると良いですね。
伝え方や考え方というものはとても大切ですね。
とても大切なことニャね!
状況に対して色々な対応方法があると思いますが、
ベストな方法で対応するように心掛けていきましょうね。
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