FXにはトレンドやレンジを主体に多くのチャートパターンがありますが、
「調整局面」という言葉もよく使われます。
しかし調整局面には明確な基準があるわけではなくて、これだけでは何をどう調整しているのかも
分かりにくいです。
このように、相場には調整局面という時期が現れます。
調整局面って「わかりにくい」のかニャ？
そうだね、なかなか「分かりにくい」かも知れませんね。
それは困るニャ～
では、調整局面の概要や、なぜ調整局面に入るのかについて考えてみましょう。
【調整局面とは】
調整局面とは、トレンド途中に発生する特徴的な値動きのことです。
その名の通り、行き過ぎた価格を落ち着かせてバランスを取り戻すような動きで、
単に「調整」と呼ばれることもあります。
もともと株式市場でよく使われていた言葉ですが、FXチャートでも頻繁に発生するので、
うまく対応していかなければなりませんね。
【大まかな動きの特徴】
例えば、原理的に価格の上限がない株式市場では、長い上昇トレンドの途中で
調整局面が現れることが多くなっております。
しかし、一定の範囲で循環する事の多いFXでは、下降トレンドでも同じように扱われるので、
より遭遇する機会が多くなるはずです。
調整局面での値動きとは、まずトレンドが上下いずれかの方向に発生して価格が大きく動いた後に
訪れる逆行や停滞が特徴です。
FXのチャートはジグザクに進んで行くために、特定の部分を切り取ってみると、
常に上昇と下降の動きがありますよね。
上昇トレンドの中に下落による押し目があって、
下降トレンドの中にも上昇による戻り目が発生するニャね
これの繰り返しでジグザグの値動きになり、トレンドになっていくのです。
これをMT分析で大きな視点で見てみると、大きな流れの後にそうした弱めの反発が出た時に、
その状態を「調整が入った」「調整局面だ」などと言われるのです。
パターンとしては、調整後に大きく逆方向に切れ込んでいく動きもあれば、
あまり動かずに一時的なレンジに陥ることもあります。
どちらにしても、伸びてきた価格がその勢いを落として方向性を一時的に失っている状態です。
その状態が短い場合は「調整」と言って、長期化した場合に「調整局面」「調整期間」と称する
使い分けもあります。
この辺は値動きの傾向に過ぎないため、人によって使い方や言葉の選び方が一定していないです。
また、調整局面が終わった後は、そのまま元のトレンド方向に戻ることもあれば、
反対側にトレンド転換するケースもあります。
このように考えていくと、
少しずつチャートの値動きの本質に近づいている感じがしますね。
【踊り場との違い】
大きな上昇トレンドで伸びてきた価格が速度を落として、
横ばいの動きが続くことがあります。
その後、価格が再び上がって行った場合、あたかも階段の途中の
「踊り場」のような形になりやすいです。
「踊り場」とは、階段の中ほどで段差が一旦なくなり、ちょっとした平面となっている構造ですね。
そこから、このようなチャートパターンを「踊り場」と言うようになりました。
株式相場でもよく使われる言葉になっているニャ～
値動きは調整局面と同じような考え方ですけどね。
また、同じ上昇トレンドの途中でも、大きく価格を下げるような逆行となった場合は、
相場が平坦ではありません。
そのため調整局面には変わりありませんが、「踊り場」とは言わないです。
もちろん下降トレンド中で逆行する値動きも踊り場とは言いません。
横ばいになった場合であっても、一般的には調整局面と呼ぶに留まります。
他の用途としても、上昇してきた景気が伸び悩んだら「景気が踊り場に差し掛かった」、
企業の売上や利益に陰りが見えたら「成長が踊り場に差し掛かった」などと言います。
あくまでも上昇中の一時的な横ばいを指すのが
「踊り場」で調整局面の形態の1つということですね。
【調整局面の定義】
大きな値動きの後の小休止が調整局面の正体ですが、
どの時点でそう呼ぶかは、人によって一定していません。
インジケーターであれば数値が出ますし、
水平線や抵抗線ならば線そのものが基準になります。
それに比べて調整局面は基本的には概念や捉え方に過ぎないので、
具体的に目に見えるものや明確な定義がないです。
一方、先行して発達してきた株式市場では目安として、
価格が「過去52週間の最高値から10％下落」した場合に調整局面とするという考え方があります。
その根拠は、株価は一種の人気投票なので時には過大に評価されることがあって、
その乖離が一定を超えると正しい評価に調整されるというものです。
個々の企業評価だけでなく、例えば日経平均でもバブル崩壊後の最高値を付けた後、
約10%落とした月日には市場で調整局面に入ったという観測が広がりました。
もちろん、それをそのままFXに持ってくるのは何となく違う気がしますけどね。
なんだか難しいニャ～
例えばドル/円相場では、大きな値動きがあっても殆どの場合、
年間で10％～20%程度しかありません。
近年まれに見る急激な円安に見舞われている昨年（2022年）では、年初からの下落は約30%ですね。
現実的には数%の逆行があれば調整とみなせることになります。
しかし、ここ近年のドル円は荒れているような気がしますね。
また、指標発表時の値動きは凄いです。
指標発表時は他の通貨ペアと同じように
いつもグイグイ動いているニャー
【移動平均乖離率を活用】
このようにFXでは明確な基準は付けにくいのですが、
その代わりとして「移動平均乖離率」が目安になっております。
移動平均乖離率では、指定期間内の移動平均線の平均値と
現在の時間足の終値との差を数値化します。
これは「移動平均線から離れた価格は、
やがて移動平均線に戻ってくる」という性質を利用したもになりますね。
それってグランビルの法則にも似ているニャ～
そうかも知れないね！
これにより、相場が売られ過ぎにあるか、買われ過ぎにあるかが分かります。
この移動平均乖離率の数値が5%を超えると、上昇してきた相場も過熱感が高まっていて、
調整局面に向かう可能性が高いとされております。
同じく-5%を割り込むと、下降してきた相場も一段落して、そこから反発してくると
予測ができますね。
【調整が起きるロジック】
FXや株、景気など、お金が絡む市場では値動きに応じた調整が必然的に発生します。
では調整はどのようにして起きるのでしょうか？
んー、その原因は多岐に渡っているみたいニャ～
では、ここでFXを対象に考えてみましょう。
実は、最も直接的な原因となっているのは、利益確定や損切りになります。
上昇トレンドであれば買いポジション、下降トレンドであれば売りポジションが
大きく積み上がっていますよね。
そこで一定以上の過熱を見せると、保有中のポジションを解消して利益確定に走る動きが出てきます。
そのため一時的な反発が生まれます。
それでもトレンドの勢いが強ければ、反発を活かした押し目買いや戻り売りで
相場は元の方向に戻ります。
また上げ下げの力が拮抗すれば、そこで値動きは沈着して水平な動きに移ります。
ただ、これだけでの理由では、
数分単位でも発生するジグザクの値動きと大差ありません。
調整局面との違いは逆行や停滞がごく短期で終わるか、
長期に渡るかの違いなのニャ
特に長い時間足で「局面」と付く場合、長ければ数ヶ月単位になることもあります。
これは、それに見合うだけの長い期間をかけて積み上がってきたトレンドや、
あまりに急激な値動きに対する反動とも言えますよね。
FXでは数週間先までポジションを持つこともあるスイングトレードや、
数ヶ月単位で相場に取り組むポジショントレードがあります。
そうした目線で相場の上下を見据えた場合、過熱した相場を一旦リセットするには、
相応の期間が必要となる考え方をすると理解しやすいのかもしれません。
ただし要因は他にもあって、それぞれが絡み合ったりもしていますね。
このような考え方がチャートの値動きに繋がるのニャね！
【調整局面の種類】
一口に調整局面とは言うものの、実は次の3つに分けることができます。
○価格の調整
○時間の調整
○ポジションの調整
これも人によって解釈や分類、名付け方などに違いがありますが、
調整局面という値動きの背景を理解するためには、それぞれ知っておいた方が良いかも知れません。
またここでは、相場に大きな影響を与える大口トレーダーや機関投資家などの存在も
押さえておかねばなりませんね。
では、詳しくみていきましょう。
【価格の調整】
価格調整、あるいは値幅調整とも呼ばれますが、
基本は先ほど記載しました利確によって起きる調整です。
しかしFXでは厄介なことに、ここに大口トレーダーの意図的な動きが関わってきます。
トレンド期間を通じて積み上げたポジションは、どこかで利確をすることになります。
しかし、膨大な量を抱えている大口の場合、うかつにポジションを決済すると
その利確がきっかけになって価格が不利な方向に動いてしまいます。
例えば上昇相場では、買いポジションを売って利確をしますよね。
一気に大量の売りを浴びせたらトレーダーが売り目線になり、
相場は下がってしまって、下がれば下がるほどに得られる利益が減ってしまいます。
そこでそうならないようにトレンドを大きく損なわない程度の量で、
少しずつ決済していくのです。
すると価格は上がるようで上がらない、下がってもまた戻ってくるという
ジグザグの値動きになります。
これがローソクがジグザグする値動きの要因だと思います。
そして、我々のようなトレーダーにとっては、
このジグザグが押し目のチャンスですよね。
しかし、そこで売り側に回っているのは、含み益を抱えた大口になっているという
構図を忘れてはなりません。
気をつけないと狙われて焼かれます。
ですので、この考え方は大切なので覚えておきましょう！
そのまま一過性で終わることもありますが、押し目買いによって価格が上がると、
すかさず大口が利確に走ることもあります。
すると価格が下がり、また押し目買いが生まれ…を繰り返して調整が長期化していくことで
「局面化」するというわけです。
これが往復ビンタになりやすい局面です。
このような考え方はチャート上で見えませんが、
これが裏側で行われている心理戦と言われるのだと思います。
値動きを作っているのは大口なのかニャ？
大口の動きが値動きの「きっかけ」になることは多いと思うよ。
その「きっかけ」に大衆が集まると大きな値動きになるのです。
バドワゴンそのものニャね！
大衆心理も大切な考え方です。
【時間の調整】
トレンドの一時的な鈍化である調整は、
見方を変えると「時間的な引き伸ばし」が生じているとも言えます。
それは「価格調整」の結果として起きることも当然ありますが、
同じく大口トレーダーが意図的に生んでいることもあるのです。
これは、ポジションを少し解消した大口トレーダーが次に狙うのは、
新しいポジションを有利な条件で建てることになります。
そのためには価格をトレンドと逆行させて、押し目買いや戻り売りを行うことが得策ですが、
一連の工程には相応の時間が必要です。
実際に価格が逆行すると、一定の一般トレーダーは逆張り的にエントリーをしてきます。
それによって価格の逆行が十分に進んだことを見て、大口トレーダーが元のトレンド方向に
大きな注文を出すのです。
これは逆ダマシのような感じですね。
チャートでは、ある程度グイッと動いたところを
焼き尽くすして長いヒゲとなります。
それも怖いニャ～
上昇相場であれば、ひとしきり下落してきた所を狙いすまして買いを入れて、
元の上昇基調に追い立てます直します。
すると逆張り的なエントリーをしていた一般トレーダーは含み損を抱え、
多くの損切りを生み、それが起爆剤となって相場が再び大きく動くのです。
価格調整は売り買いのポジション同士の拮抗がベースになるので、
決着が付けば短期で終結することも珍しくありません。
それに対して時間調整は値動きだけではなく、起爆剤となる損切りが貯まることが重要なので、
長期化しやすい傾向があります。
このように考えていくと、
大口の心理を考えながらトレードを行うことが大切ですね。
本当に心理戦ニャ～！
【ポジションの調整】
価格調整・時間調整に続いて、
ポジション調整という動きもあるので考えてみましょう。
ポジションを多く保有していると、
相場が逆方向に動いた時に大きな含み損が出てしまいますよね。
FXはそれが怖いのニャ
逆にポジションを一切持っていなければ、相場がどんなに乱れても損失を出す心配はありません。
そこで経済指標の発表など、相場に対する影響が大きなイベントを控えたりしている時に
ポジションを軽くすることを「ポジション調整」と言うのです。
そしてその時、想定される影響がマイナスに向かう可能性が大きければ、
買いポジションを解消することで相場は先に下落します。
プラス材料が出てくる見通しが強まれば、売りポジションを解消することで価格は上昇に向かいます。
イベントに限らず、トレンドが強く進むとその反動が起きるのではないかという恐れが
トレーダーの間に広まります。
そこで反動に備えたポジションの解消が進み、それにより実際に反動が起きて
価格調整に陥るというのも、指標発表時によくあるメカニズムとなります。
また市場が閉まる週末には大きな事件が起きた場合のリスクに備え、
金曜日にポジション解消を行うトレーダーも沢山いると思います。
特に毎月第一金曜日は米国雇用統計の発表があるので、その前に多くのポジション調整が行われる
可能性が高いでしょう。
このようなポジション調整局面では、
一貫性が無い煩雑な値動きになりやすいので注意をしましょう。
【調整局面は「仕込み」のタイミング】
少なからず大口トレーダーに有利に働くことも多い調整局面ですが、
我々一般のトレーダーでもチャンスとして活かしたいですよね！
では、調整局面での望ましい動き方や注意点について、考えてみるのニャ
○大きなポジションを持たず、慎重に待つ
○随時適切な決済も行う
○複数の時間足でチャートを確認(MTF分析）
調整局面が難しいのは、トレンドが弱まり方向性を失っている状態で、
先行きがいつもよりも不透明になっていることです。
そして、トレンド中の小休止であれば、いずれはまたトレンドが再開するのが相場の特徴です。
これがトレード前の「待つ」という状態ですね。
しかし、いつ相場が動き出すのかは誰にも分かりません。
もちろんこのような時に、軽い気持ちで行う中途半端なエントリーは危険です。
更にこの時に大きなポジションを持つのは得策とは言えないですし、
とてもリスクが高いです。
前回書きましたが、「頭と尻尾はくれてやれ」という相場の格言がありますよね。
以前、「格言集」で習ったニャ
頭からエントリーをして、利益を根こそぎ取りたいと言う気持ちが
裏目に出てしまう事が多いので気をつけていきましょうね。
明確な根拠がある押し目買いや戻り売りの機会が来るまで、慎重に様子を見ながら
しっかりと方向性が生まれて、分かり易いエントリーポイントが現れるまでじっと待ちましょうね！
チャートを見ながら大衆心理が傾くポイントを探してみましょう！
ダマシに合わないように、
しっかりとトレンドが開始されたらエントリーをするのニャ！
【適切な決済も視野に入れる】
調整局面と言えども、それなりに大きな値動きをすることも多いです。
ですので、大きな値動きの中でひたすらポジションを持ち続けることは、
最善の方法とは限らないこともあります。
トレンドに乗って大きな含み益があったのに急に相場が逆行してしまうと、
時には含み損を抱えてしまうことになります。
それならば条件の良い時に利確をしておいた方が良いですよね。
一度戻してトレンドに戻ることも多いので、
この時に分割決済が役立つのだと思います。
エリオット波動の考え方も重要ニャね！
そして調整局面の中で押し目買いや戻り売りのチャンスを見つけて、
あらためてエントリーした方がパフォーマンス的に良くなることが多いです。
調整局面が長引くほど、含み益が減ったり含み損が出たりして、ストレスにもなってしまうものです。
そうなると疲れがでて、トレード判断にも悪影響を及ぼしてしまいます。
特に上昇相場(ロング)の後の調整局面には注意が必要なのニャ
それは、買いをロング、売りをショートと言うように、相場は上昇するより下がる方が
スピードが早いからです。
これが、「ロング」と「ショート」の由来らしいのニャ
ロング時に怖いのは、「調整局面だからまた上昇するだろう」と思っているうちに
急激に下落が始まかもしれないのですからね。
これが「いってこい」の局面です。
全部でなくても、一定のポジションの利確は検討していきましょう。
分割決済の大切な考え方ニャね
【MTF分析で確認】
もちろんMTF分析も大切ニャ！
そうだね、トレンドが明確に終わったわけではなく、
レンジでもない中途半端な状態が調整局面ですよね。
そこでの環境分析には、いつも以上に複数の時間足のチャートを見ることが有効となりやすいです。
まず大きな流れを掴むために、週足や月足を確認しましょう。
日足レベルだと、小刻みな値動きやダマシに囚われて、右往左往してしまう可能性があります。
トレンドが転換したと思ってポジションを解消したら、
すぐまた元の方向に戻ってしまうかもしれません。
その点、週足や月足であれば紛れを排除できるニャ！
そうですね、MTF分析がとても大切です。
また、エントリー時には短い時間足でのエントリー調節もとても大切です。
トレンドの勢いが残っている場合は、押し目や戻り目を作った上で大きく反転したり、
短時間でトレンドに戻る可能性があります。
その初動は日足レベルでは取り逃してしまいますので、エントリーのタイミングを判断するには、
5分足や10分足など短い時間足でのチャート分析でエントリーポイントを合わせた方が効果的です。
【まとめ】
今回は調整局面について書いてみました。
FXが心理戦であることが分かったかも知れませんね。
分かっただけではなく、
心理戦の見極めを判断をするスキルも大切なのニャ！
そうだね、こういう知識やスキルを積み上げていくと技術になります。
これがポロンが目指すトレード技術ニャね！
うん！
更には技術を磨いてトレード職人を目指します！
ポロン頑張ってニャ！
うん！
姫君、ありがとう！！
同じ境遇の皆様も頑張っていきましょうね！！！
最後まで読んでいただきまして、
ありがとうございますニャ。
コメント